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健康アドバイス73
私たちがものを見るには眼で光を感じとり、脳に伝え映像として認識しなければなりません。まず光が瞳孔(どうこう)から眼球内に入り、水晶体でピントを調節し硝子体(しょうしたい)を通り、網膜(もうまく)が光を感じ取ります。カメラに例えると水晶体がレンズ、網膜がフィルムにあたります。
網膜の中心にある、もっとも重要な部分が黄斑です。視力に関わりが深く、色を識別する細胞のほとんどが黄斑にあります。よって、黄斑が傷害されるとそれ以外の網膜に異常がなくても著しく視力が低下します。
網膜の下には網膜色素上皮(もうまくしきそじょうひ)という一層の細胞があり、その下に脈絡膜(みゃくらくまく)という血管に富んだ組織があります。網膜が正しく働くためにはこの網膜色素上皮や脈絡膜が正しく働く必要があります。年齢を重ねると網膜色素上皮の下に老廃物が蓄積してきます。それにより黄斑が直接あるいは間接的に障害を受ける疾患が加齢黄斑変性です。欧米では成人の失明原因第1位で珍しくない病気です。日本では比較的少ないと考えられてきましたが高齢化や生活の欧米化等により著しく増えており失明原因の上位になってきています。
加齢黄斑変性にはいろいろな分類がありますが、大きく分けると萎縮型(いしゅくがた)と滲出型(しんしゅつがた)の2つになります。
萎縮型は網膜色素上皮が徐々に萎縮していき、網膜が傷害されていきます。進行は比較的緩やかですが滲出型に移行する事もあります。滲出型は脈絡膜に異常な血管(脈絡膜新生血管)が生じ網膜が傷害されます。異常な血管は正常な血管と異なり血液の成分を漏出(ろうしゅつ)しやすく、破れやすいため網膜浮腫(もうまくふしゅ)や出血を起こし急激に網膜を傷害する事もあります。
加齢黄斑変性の主な自覚症状としては@変視症(へんししょう:ものがゆがんで見える)、A中心暗点(見ているものの中心がかけて見えなくなる)、B視力低下、C色覚異常などがあります。
加齢黄斑変性を正しく診断するためには以下のような検査が必要です。
@視力検査
他の眼の病気と同様、重要な検査です。屈折矯正しての検査が必要です。
Aアムスラーチャート
碁盤の目のような図を見て、格子のゆがみを調べます。
B眼底検査
眼科医が網膜等の状態を詳しく観察する検査です。検査の前に目薬で瞳孔を開く事もあります。
蛍光眼底検査でわかること
@血管の詰まっているところ
A血管の壁が痛んで血漿が漏れているところ
B脈絡膜や網膜色素上皮の痛んでいるところ
C血管の変形や拡張
C造影検査
腕の静脈から蛍光色素(フルオロセインやインドシアニングリーンという薬を使います)を注射して、眼底を撮影する検査です。新生血管の位置やタイプ、広がり、血管からの漏出具合などが分かります。
D光干渉断層計(ひかりかんしょうだんそうけい)
網膜の層構造を断面的に詳しく観察する検査です。新生血管の状態や網膜のむくみなどを立体的に把握、評価できます。
加齢黄斑変性の治療には以下のようなものがあります。
@薬物療法
脈絡膜新生血管の発生には血管内増殖因子という物質が関係していると考えられており、それを阻害する薬剤を眼の中(硝子体腔)に注射します。まず3回注射し、その後定期的に診察をして悪化するなら再注射する方法や、病気の活動性に応じて間隔を調整しながら注射する方法などがあり、長期的な治療の継続が必要です。
A光線力学的療法
光感受性物質を点滴し、その後に非常に弱い出力のレーザーを照射して脈絡膜新生血管を閉塞させる方法です。治療後48時間は強い光に当たらないように注意する必要があります。
Bレーザー凝固
脈絡膜新生血管が黄斑部の中心から離れている場合に強い出力のレーザーで病変を凝固、破壊することがあります。中心部に行うと視力低下が生じるので特殊な例を除き照射できません。
C手術
脈絡膜新生血管を抜去し、黄斑を移動させる手術が行われていましたが最近はあまり行われていません。
喫煙者は加齢黄斑変性になる危険性が高い事が分かっているため、禁煙が予防に大切と考えられています。またビタミンC、E、βカロチン、亜鉛などを含んだサプリメントは発症を少なくする事が分かっており、緑黄色野菜も発症を抑えると考えられています。ただ、やはり完全に予防する事はできません。
眼の病気は症状が出た時にはかなり進行している事が多いです。早期発見が極めて大事ですので、ある程度の年齢になったら眼科で検診を受けるようにしましょう。